繁華街育ちの僕が入学した小学校は網走中央小学校。
名前は中央だが、繁華街から10キロぐらい離れた山の上の小学校だった。
通学にはバスを使った。朝は通勤の為、大人がたくさん乗り込みもみくちゃにされて大変だった記憶がある。乗車の時にバス券を取らないと運転手さんにこっぴどく叱られる。怒られた腹いせにたくさんバス券を取ってやるとミラーで確認され降りるときにやっぱり、こっぴどく叱られた。この運転手さんとの戦いはこの後、2年間続く…
小学校入学そうそう、僕は事件を起こしてしまった。
班毎に持ち回りでお掃除の当番をするのだが1人だけ真面目にやらない男の子がいた。ずっと我慢していたが、その子は真面目に拭き掃除をしている子にほうきでいたずらをはじめた。僕のなかの仮面ライダーが目を覚ましてしまった…
僕は彼のほうに黙って歩み寄り、正面に立っていきなり手で突き飛ばした。彼は尻餅をついたがすぐに立ち上がってすごい勢いで襲ってきた。反射的に身をかわし、次の瞬間、反射的に背中を押してしまった…彼は勢い良く積み上げた机の中につっこみ、ひどい音をたてて机が飛び散った。
振り返った彼の鼻から血が流れていた。彼はそれに気が付くとおお泣きしてどこかへ消えてしまった。
正義の為には仕方ない…勝手な解釈をして掃除を続けた。
学校の帰り道は急な山の斜面に板を打ち込んでつくった階段でその脇に工事用のロープが手すりのようについてる道をみんなつかっていた。そのうねった道を山側から見ると人がいっぱい繋がってまるで毎日が初詣みたいだといつも思っていた。
その日は何故かいつもより大渋滞でなかなか前に進まない。先の方に進んでそのわけがわかった。
6年生と思われる3人組が通る子一人ひとりに”おまえ、米村か?”と検問を行っていたのだ。その時は、意味がわからず同じように自分にも聞かれたが”違います”ときっぱり言ってその場をやり過ごした。
翌朝、その検問は僕の教室の入り口で行われていた。 ”まずい…”家に帰ってしまおうか悩んだが、帰ればこの事態より怖い母につめられる。
僕は意を決して検問を受けている子の脇をこっそりすり抜けた。
”あいつだよ!”その声は昨日鼻血を出してた男の子のものだった。どうやら6年生の正体はその子のお兄ちゃんだったらしい。
”昨日の仕返しか、もうだめだ…”僕も鼻血をだす覚悟を決めた。
その子のお兄ちゃんは鬼のような形相で僕に近寄り事の顛末を尋ねた。
僕は正直に昨日のいきさつを話したが、話が全て終わる前にお兄ちゃんがいきなり拳を高くした。
僕は首をすくめて目をつぶったが、衝撃がやってこない…その拳の振り下ろされた先は弟の頭だった。目をつぶったときかすかに鈍い音が聞こえた。
それからお兄ちゃんは僕の方を振り返り頭をなでてくれた。あっけにとられてポカンとしていたら”こいつがまた怠けたらどついてやってくれ。”それだけ言って、教室を出て行った。
お兄ちゃんの後姿はまさに仮面ライダーそのものだった。
お兄ちゃんの差し金なのか、弟もその日から嘘のように僕に気を使うようになり一緒に良く遊んだ。昨日の敵は今日の友ってやつである。
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